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『セラフィム 2億6661万3336の翼』

<原作>押井守 <作画>今敏のマンガ『セラフィム 2億6661万3336の翼』を読みました。

押井作品といえば、映画・小説・マンガ原作などメディアを問わず、膨大な薀蓄虚構を織り交ぜて世界を描くのが作風であり、それが押井作品の魅力でもあります。

この作品においても、その膨大な薀蓄を核として世界を構築しておりますが、それに加えて圧倒的な画力レイアウト能力を持つ今敏が作画を担当することで作品がより強靭な身体を得ています。

しかし、その奇跡のような状態は長く続かず、次第に齟齬が生じます。
先の押井さんの作風では画的に動きがあまり無く、それが氏にとっては耐えがたかったのかも知れません。
氏によれば「説明ばかりで進まない話に業を煮やして、原作者を煽るつもりでエンターテインメントに振った」とのことで、それは物語で言えば恐らく8話の主役の一行が華南深圳を離れ、海路で上海に向かうあたりからでしょう。 
そのあたりから押井作品特有の薀蓄は鳴りを潜め、派手なドンパチが目立つようになります。
そして、10話から11話にかけて3ヶ月の休載を経て、12話を最後に押井さんが作品から離れ<原作>の表記が<監修>へと替わります。

押井さんが離れた13話からは、画の印象が大きく変わります。 それまでは非常に緻密に描かれ黒い印象でしたが、13話以降におけるそれは充分に緻密とも言えますが、かなり白い印象です。 
明らかにテンションが違います。

おまけに作中にはこのような今氏の心中を代弁するような台詞まで見られます。

以下引用

「本気なのか?メルキオル!!」

「他にどうしろというんだ! 主席の好意を有難く受けて引き上げるさ」「調査行とやらに必要な機材や医薬品 本部との通信手段は船と共に沈んだ」
 「残った老人と意味不明な犬の賢者… それに得体の知れぬ成長しない娘で一体何を調査すればいいんだ!?」
中略

どうしたの!? らしくないわ」 「気分でも悪いの? 顔色も良くないわ」
「何ひとつ始まらないうちに退却だ喜色満面てわけにもいかないのさ」

「退却も困難だと思うけどね」


氏とすれば、まさに撤退戦の様相で如何にこの作品を締めくくろうかと混迷していたのでしょう。
結局、連載は16話を最後に中断し、再開されることなく今日に至っています。

この作品が何故このように未完になってしまったのか?

それはやはり押井守と後に本当に監督となる今敏という2人の監督が存在してしまったからでしょう。

互いに譲れぬ正義がぶつかり合い、ついには関係が破綻してしまう。 
結局は避けられないことだったのかもしれません。

ところで、途中から作品から離れた押井さんですが、後の作品~映画【イノセンス】 や小説『BLOOD THE LAST VAMPIRE 獣たちの夜』などからこの作品でやろうとしたことが幾らか窺い知れることができます。




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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

tag : 押井守 今敏 セラフィム_2億6661万3336の翼 押井

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